ごねんぶりにどめの

時代を嘆くなって、言ったじゃないか!

オタクども、自担は褒めて褒めて褒めまくれ

オタクの間でひっそり話題になっている(と個人的には思っている)『浪費図鑑』を読んだ。

浪費図鑑―悪友たちのないしょ話― (コミックス単行本)

浪費図鑑―悪友たちのないしょ話― (コミックス単行本)

 

この本は本文からの引用を用いて一言で表すと“(オタク女たちの)浪費(事情を紹介する)図鑑”である。ソシャゲやアイドル、ホストなど、実に様々なジャンルで浪費しているオタクの赤裸々な告白が掲載されている。ちなみに書籍には未収録だが同人誌ではジャニーズに浪費する女(JUMP八乙女担)も登場している。

昨年末に発売された同人誌『悪友 vol.1』からの増補改訂版として出版されたこの本。同人誌の方も既に読んでいたが、今回の書籍化で新たに収録された振付師・竹中夏美さんへのインタビューのある部分が印象的だった。それは、関係者視点でファンの浪費について語っている場面である。

―(中略)まず、アイドルにとってぶっちゃけ「されて嬉しい応援」って何だと思います?女子アイドルだと、例えばCDをたくさん買うとか、いっぱい現場に足を運ぶとか?

竹中 どういう内容だとしても、一番嬉しい応援は、たぶん「肯定」じゃないですかね。
(中略)
竹中 ざっくり言うとですが、本当に一番は「肯定してあげること」だと思いますね。会いに来る頻度とか回数とかじゃなくて、肯定の精神を見せてあげること。アイドルをたくさん褒めてあげることです。(中略)

―なるほど、「在宅」のオタクでも、浪費しなくても、肯定することはできる。
(中略)
―とはいえ、「好きなアイドルに課金したい」というオタクの心理もあります。我々の課金でアイドルのモチベーションが上がることはありますか?

竹中 うーん。アイドル本人からの視認しやすさという点では「課金」よりも「集客」の方が、モチベーションにつながるみたいですね。

―一人が大金をはたくよりも、大勢の「集客」……。まあ、当然ですよね。

竹中 (中略)いいねよりリツイート、の精神が大事ですね。

“アイドルをたくさん褒めてあげる”。“いいねよりリツイート”。これぞまさにオタクにとっての金言ではないか。褒めるだけなら現場に行けない茶の間オタだって出来る。何ならツイッターやブログを使って褒めれば、もしかしたらエゴサした本人の目に留まる可能性すらある。

元々自担は褒めて褒めて褒めちぎるタイプのオタクである自負はあったが、これを読んで一層そのスタンスを貫くことを誓った。だって、ファンがアイドルを落ち込ませてどうする?アイドルはファンの前ではただただキラキラ発光していればいい。ヘコむのはわたしたちの把握できない裏側で散々やっているだろうし、その原因をつくるのはただの一般人でしかないファンの仕事ではない。

ちなみにこの話題は数日前にほぼ同じ内容がツイッターで拡散されているのを目にしたので二番煎じどころか何番煎じかは不明だが、大事なことは繰り返し言っておこうの精神の下にキーボードをぱちぱち叩いている。

 

また、別の項では浪費女が集ったイベントの対談内容が収録されており(これも同人誌未収録)、そこにゲストとして登壇した地下声優で浪費する女シャチホコさんと、あんスタで浪費する女ウォンバットさんがこんなことを話している。

シャチホコ 大きなお金を使ったときって後悔もするけれど、その後悔が気持ち良いって部分もあるでしょうしね。

ウォンバット 私は後悔したこと、ないです。お金を払って後悔するようになったら、もうそのコンテンツは辞めどきだとおもいます。

過去に錦戸担からフェードアウトした時の自分がまさにこれだった。お金をかける気が次第に失せていったことで自身の興味関心の薄れ具合を自覚した。7年間も同じ人を好きでいたくせにこんな終わり方ってあるのかと当時のわたしは思ったが、自然発生的な行動は嘘をつかなかった。金銭をつぎ込むことだけがオタクの正しいあり方ではないが、この経験から自分にとってオタクを続けたいか否かの指標はそこにあると思っている。

 

横尾さんに興味を持つようになってから、たくさんの人に様々な作品をおすすめされ、手に入れられるものは片っ端から手に入れた。一時期は金の力を駆使しすぎていたように見えたのか、ツイッターのフォロワーさんから心配されることもあった。そして観賞後はツイッターで良かった点や見どころをTLを賑わすのを承知で意識的につぶやいた。その姿勢は今も変えていない。それは自分用の忘備録としての意味合いが強かったが、そのお陰で話しかけてもらったり知り合いになったりした人もいて、自分のためにやっていたことがちょっとしたプラスアルファを生み出したことは素直に嬉しかった。

推しのために金を使いたいと思わなくなるその日まで、わたしは生活が破綻しない程度に金を使って素晴らしい自担を拾い集めて褒めて、一人でも多くの人にその良さを伝え広めていけるよう努力する所存である。何なら自担がいま現在生きていることすら褒めてあげたい。

同じ時代を生きているだけで奇跡だよ、ありがとう。

 

推しがマグロ解体師になりました

 

まず初めに。

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横尾さん、1級マグロ解体師取得おめでとうございます!わ~~~~パチパチパチ~~~~!!!

 

2017年8月8日放送キスマイレージで、横尾さんが日本で8人目の1級鮪解体師の資格を取得していたことが明らかとなった。

2017年3月14日放送回の続編となる、横尾マグロ解体師への道・激闘リベンジ編と題された今回の放送では、はじめに前回の反省点が挙げられていた。いざ蓋を開けてみると、口上も切り付けも挙げられた反省点が多くて驚いた。しかし前回流れていなかった最終試験の映像を見ると、口上はつっかえつっかえで「口上に魂が感じられず」という評価にも納得できたし、落ちてしまったのも無理はないだろうと納得せざるを得なかった。これは余談だが、前回放送を見た時はそんな風に思わなかったのでテレビって良い演出も悪い演出も編集ひとつで出来てしまうんだと実感した。

反省点を踏まえた上で始まった再試験に向けた特訓。師匠の木村さんとマンツーマンで行われる指導の様子は、良い意味でテレビ的じゃなくて、息を飲んで見守るほかない映像だった。師匠は指導者として厳しく横尾さんに接しているし、指導を受けている横尾さんは包丁を持つ細腕を時に震わせながら真剣な眼差しでマグロと対峙していた。

前回よりも尺が長いこともあり試験の流れを追って放送された最終試験の映像は、特訓の時と同じく手を震わせているところもあれば、口上も危うそうに思える場面はあった。でも冒頭で流れた前回の映像と比較すると、ずっと堂々としていて凛々しかった。比較対象として良さそうな、つまり明らかに口上・技術が巧みではない映像をあえて選んで冒頭に流したのではと勘繰りさえした。観客にヨイショヨイショの掛け声を要求した後に見せた笑顔が、普段目にするアイドルとしての横尾さんを感じさせる唯一の要素だったように思う。そのくらい終始真剣そのものだった。

 

今回横尾さんは、しばらくの間は他の1級解体師立ち会いの下ショーを行うという条件付きで合格となった。正直な話、条件付きと知った時に生まれたちょっとした違和感は未だに消えない。合否判定の協議にテレビ局が一枚噛んで何らかの操作をしたのか?とか、ぶっちゃけそういうことも考えてしまった。でも合格は合格でしかない。横尾さんは2017年7月1日付で日本で8人目の1級マグロ解体師になった。前回放送で「1人でショーをやりたい」と話していた横尾さんの希望が叶っていないことは残念だけど、そのスタートラインに立ったことは間違いない。

テレビでは再特訓も最終試験もほんの数分しか流れていないが、その裏には何倍もの時間が使われている。そんな何時間もの間ずっと神経を張りつめていないといけない上に力も要る作業をまたやろうと思うにはそれなりの覚悟が必要だと思う。前回不合格であったとはいえ、その気持ちが生じるだけでも十分すごいことだと思う。

横尾さんが苦手意識のある歌やダンスを逃げずにこなしながら、興味のある動物や料理については資格を取ったり仕事に反映させたりと趣味以上のものに昇華させていることについて、わたしは事あるごとに感心する。自分が仕事をしていて面倒なことや苦手なことにぶち当たった時、横尾さんは嫌々思ったり妥協したりしながらもアイドルという仕事をして生きてきたのかと思うと、本当に頭が上がらない。自分ならまず、機会を見つけてそこから逃げることを第一に考えるからだ。今回の資格取得も心の底からすごいとおもった。結果を知っていても合格発表の瞬間の映像を見た時は思わず涙した。

横尾さんは熱意や意志を自ら進んでは口にしないし、そもそも言葉で思いをずばりと端的に伝えることが苦手である。今回の企画が素晴らしかったのは、横尾さんが多くを語らずとも姿勢や表情からそれらがびんびん伝わってくるところにあったと思う。横尾さんのための舞台を二度も与えてくれた番組スタッフの方々、資格取得に関わってくれた師匠や兄弟子、理事の方々には本当に感謝しかない。

横尾さんのために用意された舞台がハッピーエンドを迎えられて本当によかった。横尾さんが解体ショーを披露する第二幕の幕開けに、既に大きな期待を寄せている。

 

 

蛇足だがマグロ解体師アカデミーで横尾さんのような未経験者が1級取得を目指す場合、税込324000円がかかるらしいのだが、今回の場合はその正規の料金が支払われたのかな……テレビの出演料とかそれに上乗せされるのかな……とか想像の及ばないカネの問題が気になってしまったので書き残しておく。

鮪解体師専門学校ガイド@WEB|総合案内

 

横尾さんの自虐もしくは謙遜についての話

 

先日放送された横尾さんと宮田さん担当のキスマイRadioでこんなやり取りがあった。

横尾 今日は宮田くんデーでしたね!メッセージも!
宮田 確かに!オレの話たくさんした気がするわー
横尾 正直僕が選んだメッセージ(の中)で僕の名前は一切入ってませんでしたっ
宮田 えっウソぉ
横尾 ハイ、全部宮田くんでした、リアルに(笑)
宮田 じゃあ多分来週はね、横尾さん宛てのメッセージが沢山届いてると思うんで
横尾 あっホントですか。あのーすいません、聞きたくない方も、スイマセン聞いてください、お願いします
宮田 謙虚だなー(笑)

―『キスマイRadio』2017/7/26放送

横尾さんの「オレの話は聞きたくないだろうから」という発言に対し、そんなことないよ!もっと話して!と言う人、ただの甘えだと言う人、当然だけど様々な反応を見かけた。

横尾さんの自虐は今に始まったことじゃない。現在行われているアリーナツアーの北海道公演に入った時も、似たようなことがあった。

つい先日の大阪公演の時も、キスマイ以外のグループにいたとしたら?という話題になった時、他のメンバーが次々と話す中、最後まで横尾さんは自分から話を切り出さなかったというレポを目にした。7人全員の意見を求められている場面だろうに、「話を振られなかったから話さなかった」のが理由らしい。でも「俺はマネージャーだけどな」っていうオチを用意していたことをマイクを通さずに藤ヶ谷さんには話していて、結局藤ヶ谷さんの口からその事実が判明したとのこと。
(※現場にいたわけではなく複数のレポを読んだ解釈なので間違いがあればご指摘お願いします)

 

ポジティブなエピソードよりもネガティブなエピソードが目立ってしまうのは仕方のないことかもしれないが(横尾さんについては揚げ足を取りたい人が多そうだから余計にそうなるのかもしれない)、横尾さんが自身の得意分野で着実に自信をつけている様子もしばしば見受けられる。例えば雑誌『POTATO』8月号まで連載されていたキスマイのソロシリーズでのインタビュー。

ただ、料理やペットに関することはこれからも続けていくつもり。最初から仕事につながることを意識して始めたわけではないけど、ファンやメンバーが拾って仕事につながり、自分に少し自信を持たせてくれたものだから、大切にしていきたい。

―『POTATO』2017年7月号 Kis-My-Ft2ソロシリーズ「One」

ここでも「少し」という修飾語を使うあたり、横尾さんの自虐的な側面は見受けられるけど、歌もダンスもトークもできないのにとひたすらマイナスに考えていた過去を思えば、ここまで雑誌のインタビューで話せていることに感激する。
(横尾さんが自分の好きなことやってたらそれが仕事につながってそのお陰で少しでも自信がついたって流れとして完璧じゃないですか?わたしは最高だと思ってます。)

度々自虐的になる横尾さんに対して悲しみや怒りのような気持ちは多少なり湧き上がるが、そんな横尾さんを自然にフォローしてくれるメンバーに対する感謝の念の方が勝る。横尾さんのマイナスな言葉を打ち消すようにプラスの言葉で持ち上げてくれたり、ふわっとクッションのように受け止めてくれたり、人によってやり方は様々だけど、横尾さんのことを近くで見ている人が適切な助け船を出してくれることがすごく嬉しい。上に書いた横尾さんの自虐エピソードも全部そう。横尾さんの自虐を「謙虚」と言い換える宮田さん、横尾さんの代わりに横尾さんの言いたかったことを話してあげる藤ヶ谷さん。北海道公演の時は、北山さんが男らしく真っ直ぐに褒めてくれていた。

 

 もっと自信持って!謙遜なんていらないから!と簡単に言うことはできる。でもこんなに距離のある人間からの手放しの言葉で横尾さんがその通りになることなんかなくて、きっと仕事をはじめとする自身の行動によって得たものしか本人の糧にはならない。

結局のところ、遠いところから無責任な意見を投げることはできても、ファンの務めはアイドルを見守ること。「こちらはそう思っていないから自信を持ってほしい」と前向きに捉えられている気持ちが「いつまで経ってもそう言うのか」と失望感に変わるまでは、横尾さんの進む道を見届けられればと思う。