ごねんぶりにどめの

時代を嘆くなって、言ったじゃないか!

『‪ConneXion‬』の扉、開けてみたくない?

 

突然だが、Kis-My-Ft2内ユニット曲である『ConneXion』について語らせてほしい。

 

『ConneXion』とは?

『ConneXion』とは2018年7月11日発売、Kis-My-Ft2の21枚目のシングルとなる『LOVE』通常版に収録されている、藤ヶ谷さん千賀さん横尾さん3人によるユニット曲である。この曲では3人にそれぞれ役割が課されている。藤ヶ谷さんは作詞(Lylic maker)、千賀さんは振り付け担当(Choreographer)、そして横尾さんはファルセットを歌う人(Falsetter)である。ちなみにFalsetter(ファルセッター)は、藤ヶ谷さんが「どの音域が歌いやすい?」と聞いたところ、「ファルセットが歌いやすい」と返したらしい横尾さんのために作られた造語である。

 

『ConneXion』の歌詞について

まず、作詞を担当した藤ヶ谷さんがどのような詞を書いたのかについて考察してみたいと思う。

まず前提条件として、歌っている本人たちが『ConneXion』は失恋の歌である、と話しており、さらに「ワタシ」という一人称が登場するので、女性目線の失恋ソングとして話を進めていく。

まずはサビ以外の歌詞から、“ワタシ”がどのような人物であるかを読み取ってみたいと思う。

 

1番

◎未練がましい

思い出す あの時から ずっと
忘れるコトとか出来ないから I'm sorry

キミなしでは… You know?

あの頃に戻れたら…

◎自信ありげ

今、誰といるの?
泣かないでね。あの夜に戻してあげるよ…

2番

◎強気

あの言葉はFakeかな?だとしたら I hate you

偽りのI love youならI'll give it to you

◎弱気

ワタシからは言えないの
I miss you, I kiss you その先も…

◎自信ありげ

カラダに正直に おいで

 

このように1番と2番の両方で、プラスの感情とマイナスの感情が交互に登場しており、男(=“キミ”)との別れによって“ワタシ”の精神がいかにかき乱されているかが読み取れる。「ワタシといた最高の夜に戻してあげる」と思いながら、「ワタシからは言えない」と言い、それなのに「カラダはワタシを求めているだろうからおいで」と“キミ”を誘う。

一方で「泣かないでね。」という“キミ”に語るような一文から、相手側も実は納得のいく別れではなかったのかもしれない。

  

“ワタシ”の人物像をざっくり把握したところで、次はサビに論点を移す。『ConneXion』の肝と言っても過言ではない、サビで繰り返される「You've got ConneXion to me」「I can take me touch tonight」について考えたいと思う。まず意訳をし、そこからどのような背景が読み取れるかを考察したい。

 

・「You've got ConneXion to me」

直訳:あなたはわたしとつながっている(現在完了形)
「キミとワタシは今も昔もつながったままなのよ」

・「I can take me touch tonight」

直訳オブ直訳:わたしは今夜わたしをtouchに連れていくことができる(takeを「連れて行く」という意味でとらえた場合)*1
→直訳と意訳の中間:ワタシは今夜自分を触らせることができる
「今夜、ワタシはキミと触れ合うの」

 

二つのフレーズを、わたしは上記のように意訳した(正直「I can take me touch tonight」は訳と解釈に自信がなさすぎるので、ご意見のある方はわたしに連絡ください……)。サビ前で強気と弱気の間を行ったり来たりしていた“ワタシ”は、結局サビに入って強気モードで“キミ”への思いを走らせ始める。

しかし、弱気モードの“ワタシ”も知っている聴き手には、それがどこか虚勢を張っているようにも思えてしまう。ここに存在しない“キミ”に泣きついてるようにも思えるし、逆に“ワタシ”自身に別れてしまった“キミ”との現在進行形のつながりがあるのだと言い聞かせているようにも思える。そう考えた途端、藤ヶ谷さんと千賀さんが歌割りを担当している「Baby」が、ある一人の女の悲痛な胸の内の叫びとして、一気に胸に押し寄せてくる。

 

以上を踏まえて、

  • “ワタシ”と“キミ”の2人は、本当は別れたくはなかったものの、男側のどうにもならない事情によりやむを得ず別れてしまった
  • “ワタシ”は既に別れてしまった“キミ”との関係がどうにもならないことを頭では分かっているが心では納得しきれずにいる

と考察した。正直に言うと、ありがちな悲恋もののストーリーなのかな、という感想を持った。

 

横尾担として語る『ConneXion』の良さ

前述したように、考察してみるとよくある女性目線の失恋ソングのように思えはする。しかし、この藤ヶ谷さんの詞と、密やかな一人の夜を思わせるR&Bの曲調の親和性が非常に高い。加えて、歌声のベースとなっている藤ヶ谷さんと千賀さんの声もR&Bの曲調にぴたりと寄り添っている。これらがこの曲を良いと感じる理由の大前提としてあると思う。

しかしその二人の声とは別に聴こえてくる、もう一つの歌声がある。それこそがファルセット担当の横尾さんの声である。「この高音も藤ヶ谷さんか千賀さんが歌っているのかな?」と思ったら、違う。横尾さんの声なのである。二人の後ろから歌っているように聴こえてくる高音も、サビで堂々とソロを歌い上げている高音も、すべて横尾さんの声なのである。

初めてCD音源を聴いたときは、マジかよ、と思った。もちろん良い意味の「マジかよ」である。ここまで前面に横尾さんが押し出されてくるとは思っていなかったからだ。

そもそも『ConneXion』は藤ヶ谷さんがセルフプロデュースをした曲であり、制作段階の初期に横尾さんに「どんな音域が歌いやすい?」「何がやりたい?」など確認をした上で曲が作られていったらしい(その結果横尾さんはファルセット担当となり「歌は苦手だけどラップは好き」と答えた横尾さんのためにラップ詞が入った)。

その藤ヶ谷さんの思いの丈が込められているコメントがこちらである。

ドラマで言うならば、今回の曲はワタが主役で、オレらが2番手。主役を輝かせるために、がんばったよ。

―『duet』2018年8月号

 この一文が、『ConneXion』は横尾さんを歌唱のみで輝かせるために藤ヶ谷さんが用意した舞台であることを証明している。「歌う場所ぜんぶファルセット」という新たな試みにより、藤ヶ谷さんの思惑通り、『ConneXion』で横尾さんの今までにない魅力が引き出されている。藤ヶ谷さんの計画は見事に成功した。

そしてわたしは、藤ヶ谷さんと親和性の高い世界観の音楽に横尾さんが首を突っ込んだ、という事実に非常に興奮した。わたしが『ConneXion』をゴリ押ししたい気持ちの源はそれかもしれない。

わたしは正直、横尾さんが藤ヶ谷さんに音楽的に助けてもらうことはあっても、二人の音楽が交わることはないと思っていた(『わんダフォー』は二人で歌ってはいるが二人の音楽ではないと個人的に思っている)。それがこの曲で現実のものとなってしまったのだから、想定外の喜びが訪れたと表現しても過言ではない。

とにかく、横尾さんを応援する一ファンとして、横尾さんを最適な形でセルフプロデュース曲に参加させてくれた藤ヶ谷さんに感謝の意を述べたい。

 

 

ここまで歌詞の解釈やら制作背景など色々語ってきたが、まずは曲を聴いてみるに越したことはない。公式ページで試聴できるので、聴いたことのない方は是非聴いてほしい。→ DISC | Kis-My-Ft2 Official Website 
※スクロールして通常盤の『ConneXion』の横にある再生ボタンを押してください。 

あわよくば通常盤を今すぐポチっていただけるとより嬉しい。他のメンバーのユニット曲(『星に願いを』『Happy Birthday』)も違った良さがあるので、出来ることなら全てのユニット曲を一度聴いてほしい。

LOVE(通常盤)

LOVE(通常盤)

 

 

ユニット曲の物語性を感じさせるKis-My-Ft2の21枚目のシングル『LOVE』、どうぞよろしくお願いします!

 

 

 

 

*1:ちなみにtakeはこの辞書サイトによるとセックスするという意味もあるらしい……Oh……。

takeの意味 - goo辞書 英和和英