ごねんぶりにどめの

時代を嘆くなって、言ったじゃないか!

ぼくたちは祈ることしかできない ―ベストアーティスト2015KAT-TUN挨拶を見て―

ジャニスト楽しみうきうきわくわくと期待に胸を躍らせていたベストアーティスト2015。そしてキャンストを民放で歌っちゃうなんて夢でしかないのでは…?と放送開始直後に出てきたジャニーズWESTのあまりの格好よさに夢うつつになりながら番組を見続けていたら、どん底に突き落とされるような場面を目の当たりにしてしまった。KAT-TUN脱退、及び事務所退所の旨を報告する田口くん。それをKAT-TUNの代表として各方面に謝罪する亀梨くん。口は開かずともずっしりとした空気を背負う無表情の中丸くん、涙目のようにも見える上田くん。この光景は、一体何なんだろう。

 
田口くんが今回のような決断に至った理由については、ネットで軽く探しただけでも色々な憶測が飛び交っている。けれど、真実は闇の中。ファンは必死に想像することしか出来なくて、本人に「なぜ、どうして」と問い詰めることは出来ない。そして本人の口からその理由がすぐに語られることはないのだろう。
 
KAT-TUNの熱狂的なファンだったことはないけれど、田口くんの脱退及び退所の報告を聞いてから様々な感情が押し寄せてきた。現実味が得られない茫然自失とした気持ち、どこに矛先が向いているか分からない怒り、また一人抜けてしまうのかという悲しみ、田口くんが決めてしまったんだから仕方ないという諦め。アイドルは、きらきらとまばゆいアイドルの世界以外、つまり私たちが一切立ち入ることの出来ない世界でも、確かに生きているのだということをまざまざと見せつけられた気分になった。長らく錦戸担だった過去があるのでメンバーの脱退という出来事には何度か遭遇してきたけれど、今回の田口くんのように能動的に事務所まで抜けてしまう人は初めて見た気がする。だから「アイドルって自分から辞めてしまえるんだ」と妙な新鮮さも、複雑な感情を抱く胸の中にぴゅうっと吹き抜けた。
 
田口くんの一件を受け、今自分が最も応援しているグループであるジャニーズWESTのことを考えた。ジャニーズWESTはデビューまでの道のりがちょっと複雑だったから、「7人でデビューできてよかったね」という、デビュー自体が一つのゴールのような空気が、特に最初の頃はあったのではないかと勝手に思っている。でもそうじゃないのだ。きっとメンバー自身が一番分かっていることだろうけど、デビューしたら後は花道をにこにこしながら歩くだけ、ってわけにはいかない。むしろデビュー前からグループとして人気のあったKAT-TUNが今こうなってしまっているくらいなのだから、ジャニーズWESTにだってこの先何が起こるか分からない。メンバーの脱退には至らなくても、雑誌や新聞に載るような問題事を誰かが起こしてしまうかもしれない。彼らはデビューしてまだ2年も経っていないグループだ。心配してもどうしようもないことだけど、「かもしれない」が現実になる可能性はいつだって捨てきれない。
 
ふた月ほど前に発売したDVDの中で、桐山くんはファンに対して「これからも僕たちと同じ景色、見てくれますか?」とステージの上から問いかけていた。でも今回の件で、ファンがどうこうよりもまず7人で同じ景色を出来るだけ長い時間見ていてほしい、と思った。他人の人生を勝手に決めたり奪ったりすることはできないけど、7人でてっぺんを目指して、そして勝ち取ってほしい。淳太くんが時折口にするような『国民的なスターグループ』にまでジャニーズWESTが登りつめ、その時も今と変わらない7人でステージに立っていることを強く強く願ってる。