ごねんぶりにどめの

時代を嘆くなって、言ったじゃないか!

冬の俳句タイトル戦『冬麗戦』が生んだ物語性の話

 

年明け最初のブログは、1月4日放送『プレバト才能ランキング』のことを書きたいと思う。

波乱の展開の結末

冬の名人・特待生俳句タイトル戦である冬麗戦に、これまで春から季節ごとに行われてきたタイトル戦と同様、Kis-My-Ft2から横尾渉と千賀健永の両者が参戦した。

横尾さんは名人2段、千賀さんは特待生2級と、横尾さんの方が実力としては上の位置についている。実際これまでのタイトル戦でも千賀さんが横尾さんを超えることはなく、また、両者ともに一位を取ったことはなかった。*1

そして迎えた冬のタイトル戦。そこで驚きの展開が待っていた。千賀さんが初めて横尾さんの順位を超え、しかもタイトル戦を制し一位の座についてしまったのである。

視聴者として結果を知った我々ファンは大いに驚かされたが(予告で流れていた千賀さんの涙から予想がついていた空気もなくはなかったが)、いちばん驚いたのは、おそらく結果を聞いた瞬間に喜びのあまり涙を堪えきれなかった千賀さんと、そのすぐ傍で肩を落とし落胆の表情を見せていた横尾さんだったと思う。

しかし二人の句を見てみると、俳句に全く明るくない自分から見ても、千賀さんの句の解説で出てきた星空の下にそびえ立つ葉のない大樹の写真は、千賀さんの句のために用意された写真かというくらい、句から受けた印象とぴたりと合っていた。これは横尾さんの句が負けてしまっても仕方ないと、納得せざるを得なかった。絵画的で壮大でロマンチックで、千賀さんのイメージにも似ているような俳句だったと思う。心の底から美しいと感じた。

敗者の顔

千賀さんに負け、全体の順位としても8人中7位という今までのタイトル戦で最も低い順位となってしまった横尾さん。

前述した結果発表の瞬間の落胆ぶりは、飛び跳ねたり涙ぐんだりしながら喜ぶ千賀さんの存在によって一層際立って見えた。夏井先生による解説が始まってからもどこか不服そうな顔をしていた。

しかし自身の句が添削されるやいなや合点のいった表情に変わり、また時折自身の勉強不足も噛み締めているようで、知識欲や高いプライド、自省の心など横尾さんの様々な性質がわずかな時間の中で表出したように見えた。普段グループで仕事をしている時には見られないような、感情を静かにむき出しにした面持ちから、俳句に対する気持ちの入れ込み具合も伝わってきた。

対等な好敵手の登場

もちろん、横尾さんに一位を取ってほしかった気持ちがなかったわけではない。しかし今回の一件で、これまで横尾さんの独壇場だと思われてきていた俳句の舞台に、千賀さんが堂々と乗り込んできたことに、不覚にもどきっとさせられた。

あまりにも物語性がありすぎる、と思った。

横尾さんの物語はこれまでを振り返ってみると、一度落ちてからが本番、という様相を呈していたことが多かったように思う。最近で言うと一級マグロ解体師資格取得までの道のりがそうだった。むしろ我々ファンからでも見えるような壁のぶつかり方をここまでしているジャニーズのアイドルって実はあまりいないのでは、とすら思う。

だから、同じグループに属する千賀さんが下剋上を成し遂げ立ちはだかってきたことも、今まで俳句の道を順調に歩んできた横尾さん(もちろん見えないところで努力はしていると思っているが)に何らかの価値を与えてくれると信じている。明らかな“負け”という感情を抱くことが、今後の肥やしとなることを願う。

 

 

千賀さん、タイトル戦一位おめでとうございました。冬晴れのあたたかくてうららかな様子を表す『冬麗』という言葉が、千賀さんのふりそそぐ光のような笑顔にぴったりだと思いました。

そして今回は悔しい結果に終わってしまったけど、次こそ横尾さんがタイトル戦の頂点に君臨することを信じ、その時が来たら全力で褒めてあげられるように心の準備をしておきたい。他人に期待を持たせられるということは、それだけの実力があることの裏付けに他ならないとわたしは思っている。

 

 

 

*1:春:横尾2位千賀3位、夏:横尾4位千賀5位、秋:横尾2位千賀3位