ごねんぶりにどめの

時代を嘆くなって、言ったじゃないか!

ライブのクセがすごい! ―『Summer Paradise 2020(松倉海斗ソロ公演)』―

 

2020年8月8日、『Summer Paradise 2020 俺担ヨシヨシ 自担推し推し 緊急特別魂』(以下サマパラ2020)Travis Japan(以下トラジャ)松倉海斗くんのソロ公演配信を視聴した。端的に総評すると「とにかくクセがすごい」コンサートだった。(某芸人コンビの有名なツッコミになってしまったのはさておき)クセがすごかったポイントを書いていく。

 

セトリのクセがすごい

恥ずかしながら、松倉くんがあれほどまでジャニーズに純粋培養されているタイプのアイドルだということをわたしは知らなかった。本人が好きな曲(自作曲や『街』など)もちゃんと織り交ぜてるにも関わらず、セトリが超ジャニーズ。

ここでわたしが言う「セトリが超ジャニーズ」は、「流れとかとりあえずいいから好きなもの詰め込んでこ!好きなもの詰め込んだら、きっと、もーっと好きなものになるよね!!!」みたいな意味合いです。

勝手ながら、「本人のやりたいこと」のメインにありそうなバラードや弾き語りが目立つセトリになるかと想像していたので、それだけではなく「人を楽しませること」にハンドルを切った松倉くんが見られたのは想定外だった。1時間半弱の公演時間が30分くらいに感じられるフルスロットルなセトリだった。

 

演出のクセがすごい

最初から最後まで度々出てくる「天の声」的な存在。コンセプトに基づいた全体の流れを作る手法として、ジャニーズのライブで映像と合わせて使われる印象があるが、今回のソロコンでまさにその演出が使われていた。
松倉くんに語りかけてくる天の声。そしてたまに入る松倉くん自身のモノローグ。なんだか懐かしさすら感じてしまい、コンサートに飢えていることを痛感させられた。しかし会場で見るとその世界観に違和感なくスッと入れるのに、配信ライブで見ると距離感があるせいか妙にくすぐったいような気恥ずかしさを覚えたのも事実。

 

ここでサマパラ開演前に公開された記事を改めて読んでみると、松倉くんはこんな話をしている。

8日の松倉海斗は「全編通してストーリー性、メッセージ性があるライブにしたい。映画のようにみてもらいたい」と“作品”に手応えをみせると松田は「ファンのみんなはポップコーンを食べたり?」と自由な楽しみ方を提案。その“映画”の内容は松倉いわく「僕らの目指す夢は海外進出とかを掲げているのでその道中をせりふではなくて表現している」とのことでアーティストとしての一面にも期待が高まる内容に。

このコメントを受けると、確かに天の声の演出は映画さながらのようだったと思う。しかし映画の内容にあたるセトリは「超ジャニーズ」だったので、やはり松倉くんは計り知れないワールドの持ち主な気がしてならない。 いろんなことを経験して成長していこうというメッセージなのだろうか。わたしの理解力が足りないだけだったら申し訳ないのでその時は訂正していただければと。

 

歌い方のクセがすごい 

知ってはいたが、特にバラード曲になるとザ・松倉海斗的な、どこか酔いしれたような歌い方(褒めています)が前面に出てきていっそ清々しかった。しかし歌が上手い。

 

MCのクセがすごい

セトリの組み方のクセもすごかったが、歌っていないときの言動のクセもすごかった。

  • ジュニア曲(『NEVERLAND』)終わりに、裸にデニムのベストを着てローラースケート履いて大きいフラッグを持って登場
    →ステージをぐるぐる回りながら「夏といえばローラースケートだろォ!」「夏だからローラー履いてんだよォ!!!」ととにかくジュニアの子たちに主張する
    →みんなで『パラダイス銀河』のパフォーマンス
  • 「トラジャのみんながいなくて寂しいよー……」
    →ジュニアたちが棒についたトラジャのお面を手に持って登場(※ジュニアは5人しかいないので1人だけ中村くんと宮近くんの2人を担当)「……みんな来てくれたの!?」
    →そのまま『TJ-Calling!!』(『Kis-My-Calling!!』のトラジャver.)が始まる
  • 水分補給タイム(微動だにせずドリンクを飲みながら)通信障害だと思った?うそぴょーん」
  • 「寂しいんで、側転したいと思います」
    →ステージの端から端までゆるやかな連続側転を披露
    「特に意味はないんですけど」
  • 見学に来ていた客席の如恵留くん(カメラには映らない)とステージ上から会話し始める(とても嬉しそう)

文章にしてしまうとイマイチ面白さが伝わりづらいことが悔しい。奇行一歩手前、突拍子のない剛速球がびゅんびゅん投げられてくるMC。普段周りにいじられる側のキャラなので、松倉くんはひとりになるとこういう戦法で来るのか 、と感心した。余談だが、「うそぴょーん」は松倉くんくらいの年齢の人にも伝わる言葉なのだろうか、はるか昔の死語ではないのだろうか、と気になった。

 

 

本人なりに考えて考えて考えまくった結果、あの濃密ハチャメチャ公演になったんだろうと思うだけでいとしさが泉のように湧き出てくる。何かと深刻になりがちな今、何も考えずにただ楽しい気持ちになれる時間を提供してくれる特効薬のようなコンサートだった。